人間の価値は他者の評価では決まりません。
そして、評価は収入では決まりません。
決まりませんというか、無関係です。
従って、当然ながら、人間の価値は収入では決まりません。
そんなの当たり前だと思うでしょうが、人間、自分の年収を気にしている瞬間、結構、自分自身の価値と収入をリンクさせているものです。ですので、こうしたことは改めて言語化して強く認識しておく価値があります。
そうすれば、正気でいられるでしょう。
人間の価値は他者の評価では決まらない
人間は人間を正しく評価できません。
世の中には様々な評価制度や方法論があり、さも評価の絶対の尺度、ものさしがあるような宣伝をするものもありますが幻想です。そもそも、人は自分自身の顔すら生涯を通して見ることが叶いません。ましてや他者のことなどほんの一面しか見えませんし、その見方もばちばちにバイアスがかかっています。
そして、仮に100歩譲って、他者を正しく評価する方法があったとして、正しさや良さというものはどこまでいっても主観であり、**「それってあなたの感想ですよね?」**の域を出ないわけです。
従って、原理的に他者の評価で人間の価値というものは決めようがないのです。
収入は(他者の)評価では決まらない
収入は(主に経営者や上長の)評価で決まっている、という幻想は広く信仰されています。
ですが、実際は違います。評価で収入が決まっているようにあたかも組織側は見せかけてきますが(だって、その方が組織としては同じ投資でより多くの成果が得られるメリットがありますし、統制もしやすいので)、しつこいですが幻想です。
年収があなたの10倍ある人がいるとして、その人とあなたの評価の差が10倍違うことってあるでしょうか。能力差が10倍違うことなんてあり得るでしょうか?あり得ません。人間そんなに能力に大差はないです。
その人があなたの10倍の年収があるのは、それを払える儲かっている組織に所属しているからです(厳密には自分で事業を行っているケースがありますが、ここでは被雇用者に話を限ります)。儲かっている組織にいて、その人にやめて欲しくないと思っているから沢山支払っている、それだけです。
収入というのは山賊がその日の獲物の分け前を決める程度のものだと思った方が良いと思いますし、私はそう思っています。
先に少し書いた「やめて欲しくない」という部分、ここが評価なのでは?と思った人。
するどい。確かにそれはそうです。
しかし、それはあなたの能力に対して純粋に決まるものではありません。
- あなたの能力がその組織に必要なものであり
- あなたの能力が市場でも人気があって、安いとあなたがよそへ行ってしまいそうであり
- 支払能力と意思をその組織が持っている
という、あなた(の能力)以外の都合満載で決まるものなのです。従って、純然たるあなたの評価とは言い難い。
お金が欲しいならお金を持っていて払う意思のある場所に行こう
人としての価値が収入や肩書き(評価)とリンクしているという信仰は思ったより強いです。
例えば、ある程度ビジネスで成功し、名をあげた人の話じゃないと人は話を聞かなかったりしますよね。
逆にこの条件を満たした人たちは、わらわらと人前でおしゃべりを始めるのは面白い現象です。
自分でも気づかないうちに、この信仰は内面の深くに浸透していますので気をつけてください。
さて、価値や評価と収入を切り離して考えたならば、収入を上げる方法はシンプルです。
儲かっている組織、そして利益を社員に還元しようとしている組織にいく、一択。
「こんなに頑張っているのに」、「あんなに成果をあげたのに」なんて思っても意味ないです。あなたが今いる組織は端的に儲かっていないのです。または、儲かっているけど社員に還元する気がないんです。それだけです。
頑張ったとか、成果をあげたとか、(ほとんど)関係ないです。
この記事の話はピープルマネジメントのテーマとして適切なのか?という向きはあるかと思いますが、ピープルマネジメントをする上で、収入の決定(査定)と評価は切っても切り離せない話題です。そして、こうしたことをちゃんと考えて頭に叩き込んでおかないと、評価をする自分が人間として偉いとか、収入が高くて当たり前だとか、成果をあげてない社員の評価や収入が低くて当然だとか、訳のわからない勘違いが濁流のように発生して、一言で言うと結構痛い人になってしまうので、本当に大切なことなのです。
収入なんて、山賊の分け前、たまたま。そして、常に相手に敬意を持って、楽しく仕事をしていきましょう。