1. 目的にこだわるとはどういうことか?

プロジェクトが決まった時点で、PMに求められるのは「それをいかに着実に進めるか」です。
しかし、本当に優秀なPMは、「そもそもこのプロジェクトは何のためにやるのか?」 を常に意識しています。

なぜなら、プロジェクトの「目的」が明確でないまま進めてしまうと、

  • 手段が目的化し、不要なものを作るリスクがある
  • もっと簡単に目的を達成できる方法を見落とす
  • プロジェクトが成功しても、実は期待された価値を生み出せていない

といった問題に直面するからです。

では、目的にこだわるためには、どのような思考が必要なのでしょうか?


2. 「課題の解像度」と「解決策の解像度」を区別する

目的をぶらさずにプロジェクトを進めるためには、
自分が今、「課題の解像度を上げているのか?」「解決策の解像度を上げているのか?」を意識することが重要 です。

課題の解像度を上げる(◎)

  • 「何が本当の課題なのか?」を深掘りする
  • 「このプロジェクトのゴールは何か?」を整理する
  • 「本当にこの手段が最適なのか?」を考える

解決策の解像度を上げる(△)

  • 具体的な機能や仕様を詰める
  • 技術的なアプローチを決める
  • タスクの詳細を整理する

解決策の解像度を上げることももちろん大切ですが、
それ以前に「そもそもこの解決策は正しいのか?」を確認するフェーズが抜けると、目的を見失ってしまう のです。


3. PMの視点を一つ上げることの重要性

PMの役割は「プロジェクトを成功に導くこと」ですが、
それだけでは 「プロジェクトをやることが前提」 になってしまいがちです。

しかし、本当に優秀なPMは、プロジェクトを推進するだけでなく、「このプロジェクトをやるべきか?」を考えています。

視点を上げることで得られるメリット

  • 無駄なプロジェクトを減らせる
    → そもそも目的が達成できないプロジェクトなら、やめる判断ができる
  • 手段に縛られず、最適な選択肢を見つけられる
    → 「新しいシステムを作る」よりも、「業務フローを変える」ほうが有効な場合もある
  • 状況に応じて、適度に手を抜くことができる
    → 100%の完成度を目指さなくても、80%の成果で十分なこともある

PMが 「与えられたプロジェクトを成功させる」ことに囚われすぎると、他にもっと良い方法があるのに気づけなくなってしまいます。


4. 具体例:営業の情報取得を効率化するプロジェクトの再考

営業の情報取得を効率化し、データを一元管理するために、営業ポータルを構築するプロジェクト を企画しました。

一見、営業活動を支援するために適切な施策のように思えましたが、
改めて「本当に解決すべき課題は何か?」を考えたところ、別の視点が見えてきました。

🔍 本当の課題は何か?

  • 確かに「情報の一元管理」は課題だった。
  • しかし、営業にとって 最も重要なのは「お客様と向き合う時間を最大化すること」 だった。
  • ポータルを導入することで、情報取得はスムーズになるが、その分 運用負担が増え、営業活動の時間を奪う可能性があった。

📌 解決策の見直し
プロジェクトを進めることで 情報の取得は効率化されるが、営業の負担が増えるというトレードオフ が生じることが明らかになりました。

結果として、営業活動に割く時間を減らさないことを最優先事項とし、運用負担が最小限になる形でプロジェクトを再設計 することになりました。

このように、「そもそもプロジェクトをやる必要があるのか?」という視点を持つことが、より良い成果につながることもある のです。


5. まとめ

  • 目的にこだわるためには、課題の解像度と解決策の解像度を区別することが大切
  • PMの役割はプロジェクトを成功させることだけではなく、「そもそもやるべきか?」を考えることも含まれる
  • 手段を目的化せず、本当に達成すべきゴールに目を向けることで、より良い選択肢が見えてくる

6. 読者への問いかけ

  • あなたが関わっているプロジェクトの「本当の目的」は何ですか?
  • そのプロジェクトは、本当にその手段でしか達成できないでしょうか?
  • PMとして、手段ではなく目的にこだわるためにどんな工夫をしていますか?

あなたの考えをぜひコメントで教えてください!