おはようございます。Shinchiです。

このチャンネルでは、日比谷のIT企業でPdMとして働く私のエンジニアやマネージャとしての日々の雑感やふりかえりをお送りします。

どうぞ何かしながら、ゆるりとお聞きください。

今日は12月の7日、木曜日です。

昨日、尺八の稽古があったのですが、その中で自分の中で基準、スタンダードポジションを持つことの大切さを教わりました。尺八は演奏技法上、身体を動かすことが多いのですが、その際に戻るポジションが定まってないとどんどん音がズレるんですね。スタンダードがあるからズレがわかるし、戻ることもできる。何気に深いなと思った次第です。

さて、今日は「なぜ?」ではなく「いつ?」を聞く」というお話をしたいと思います。

対話型ファシリテーションという技術があります。「対話型ファシリテーションの手ほどき」という本もあります。この技術の端的な要素が、「なぜ?」「どうでした?」とは聞かないコミュニケーション技法です。

「なぜ?」と聞かれると、人間は反射的に「言い訳」を考えてしまいます。「言い訳」というと言葉が強いかもですが、原因分析に思考がいってしまうといってもいいかもしれません。しかしながら、医師が「診断」をする前に「診察」を行うように、原因分析の前に状況把握を行わなければなりません。状況もわからずに原因分析をしたらおかしな結論に至る可能性はかなり高いのは自明ですね。

そこで、「なぜ?」と聞く代わりに使えるのが「いつ?」「どこで?」「誰が?」「何を?」といった質問です。原因分析の前に状況把握を行うこれらの質問を行うことで正確に状況を把握することに努めるわけですね。さらに、質問された方も「言い訳」をする必要がなくなるので、落ち着いて自分の状況を観察したり、説明したりすることができます。

例えば、忘れ物が多いという相手がいたときに、

「何で忘れ物をしたの?」

と聞いたら、下手をすれば詰問に捉えられてしまい、機嫌を損ねて会話が成立しないかもしれません。ここで、

「最近、忘れ物をしたのはいつなの?」

と問えば、相手は原因究明モードから、状況分析モードに入れます。

「一週間ぐらい前かなぁ」

「その前に忘れたのは?」

「1ヶ月ぐらい前かなぁ」

「じゃあ、その前に忘れたのは?」

「・・・・ん?ないな。そんなに忘れてないのかもしれない、自分」

こんな感じです。

このプロセスを通して、質問された側は、原因や動機、事態の捉え方についての自分の思い込みと現実の間のギャップに自ら気づいて、それを語り始めるということが生じます。ここには感情の対立が入り込む余地はなく、対話を通して協力関係を維持したまま問題解決に迫ることができるという特徴があります。答えは相手自身に出させる、そのための質問に工夫を凝らすのが大切です。

このテクニック、Why?とあと、How?、この二つを意識的になるべく使わないようにするだけなので、ぜひ試してみてください。効果にかなり驚くと思いますよ。ちなみに、How?、「どうでした?」も望ましくないのは、これは相手に丸投げの質問だからです。相手の精神的負荷が高い。ので、「まぁ、いい感じでしたよ」みたいな、浅い回答が返ってきて会話が終了という展開が多くなります。

こうしたファシリテーションの技術はマネージャをする上ではかなり有用なスキルだと思います。ぜひ、勉強してみてください。

それでは、今日もいってらっしゃい。