1. はじめに:プロジェクトは「人間の集合体」である

プロジェクトマネジメントにおいて忘れてはならない大切なことがあります。

「PMもメンバーも、そして顧客も、必ずしもプロジェクトを成功させるために生きているわけではないし、そうあるべきでもない。」

人にはそれぞれの生きる目的や大切にしている価値観があります。
その中でプロジェクトは、さまざまな人間が関わり合いながら、目的に向かって進んでいく活動です。

よく、メンバーやステークホルダーに対して文句や不満を言うPMがいます。しかし、もし最高のメンバー最高のステークホルダーだけが存在するなら、プロジェクトマネジメントは必要ありません。

能力にもモチベーションにも凸凹のある人々と、いかに協力し、目的を達成するか。
そこにこそ、プロジェクトマネジメントの面白さがあるのです。

この記事では、PMが陥りやすい3つの「落とし穴」に焦点を当て、それぞれの原因、影響、そして共通の回避策を解説します。


2. 落とし穴1: 目的が腹落ちしていないPMはほぼ確実に破綻する

よくある状況

  • プロジェクトの目的が曖昧なまま進行してしまう。
  • チームメンバーやステークホルダーに「何のためのプロジェクトか?」が明確に共有されていない。
  • PM自身が目的を理解しきれておらず、手段に囚われてしまう。

影響

  • チーム全体が方向性を見失い、無駄なタスクや手戻りが発生する。
  • ステークホルダーとの期待値にズレが生じ、信頼関係が崩れる。
  • 最終的にプロジェクトは破綻し、チームの士気が低下する。

回避方法

  • 目的を「言語化」し、いつでも確認できるようにする。
  • 定期的に「このタスクは目的に合致しているか?」と問い直す。
  • 手段ではなく、成果にフォーカスし続ける。

ポイント:
「このプロジェクトは何のために存在するのか?」を、PM自身が自信を持って答えられる状態を作ることが重要です。


3. 落とし穴2: プロジェクトの外部環境を無視すると座礁する

よくある状況

  • 外部環境(市場の変化、顧客の要望、技術トレンド)を無視して計画を進める。
  • プロジェクト開始時点の要件や条件に固執し、柔軟性を失う。
  • 外部からのフィードバックを適切に取り入れない。

影響

  • 市場や顧客のニーズに応えられない成果物が完成する。
  • 変化に対応できず、プロジェクトが停滞・破綻する。
  • ステークホルダーからの信頼を失い、プロジェクト継続が困難になる。

回避方法

  • 定期的に外部環境を見直し、変化を把握する。
  • 計画はガイドラインとして捉え、柔軟に修正できる余白を残す。
  • 外部からのフィードバックを受け入れ、早期に反映する。

ポイント:
外部環境は常に変化します。「計画通りに進める」よりも「変化に対応する柔軟性」を重視することが大切です。


4. 落とし穴3: 長期的に持続可能なプロジェクト運営をしなければ、組織は崩壊する

よくある状況

  • 目先のプロジェクト成功に全力を注ぎ、メンバーの心身の健康やチームの持続可能性を軽視する。
  • PM自身が疲弊し、適切な判断ができなくなる。
  • 組織としての知見やノウハウが蓄積されず、次のプロジェクトに活かされない。

影響

  • チームメンバーが燃え尽きて離職し、組織から知見や経験が失われる。
  • 次回のプロジェクトで同じ失敗が繰り返される。
  • 短期的な成功が、長期的な組織の弱体化を引き起こす。

回避方法

  • メンバーの心身の健康に気を配る。
  • リソース配分を現実的に設定し、無理をさせない。
  • プロジェクト終了後に必ず振り返りを行い、学びを蓄積する。

ポイント:
目先のプロジェクトの成功だけに固執せず、「持続可能性」を意識することがPMには求められます。


5. 共通する回避策:「整理整頓」の重要性

「悩んだら、掃除を優先せよ。」

整理整頓は、PMが冷静さを取り戻し、次に何をすべきかを明確にするための最も効果的な手段です。

  • 頭の中を整理する: 情報やタスクを書き出し、優先順位をつける。
  • デスクやデジタルスペースを整理する: 不要なファイルやタスクを取り除き、すっきりした状態を作る。
  • プロジェクト全体を俯瞰する: WBSやロードマップを見直し、現在地と目的地を再確認する。

整理整頓の効果:

  • 冷静さを取り戻せる
  • 優先順位が明確になる
  • 次の一手を正確に判断できる

6. まとめ:PMが真に避けるべき3つの落とし穴

  • 目的が腹落ちしていないPMはほぼ確実に破綻する
  • プロジェクトの外部環境を無視すると座礁する
  • 長期的に持続可能なプロジェクト運営をしなければ、組織は崩壊する

「能力やモチベーションに凸凹のある人々と協力し、目的を達成する。」
そこにこそ、プロジェクトマネジメントの面白さがあります。


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